破戒
作:島崎藤村
この書の世に出づるにいたりたるは、函館にある秦慶治氏、及び信濃に
ある神津猛氏のたまものなり。労作終るの日にあたりて、このものがたり
を二人の恩人のまへにさゝぐ。
蓮華寺では下宿を兼ねた。瀬川丑松が急に転宿を思ひ立つて、借りるこ
とにした部屋といふのは、其蔵裏つゞきにある二階の角のところ。
(略)
丑松は二度も三度も振向いて見て、ホツと深い大溜息を吐いた時は、
思はず熱い涙が頬を伝つて流れ落ちたのである。橇は雪の上を滑り始めた。
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