#夜明け前 #島崎藤村【日本の名作文学】

「夜明け前」
作:島崎藤村
木曾路はすべて山の中である。あるところは岨づたいに行く崖の道であり、
あるところは数十間の深さに臨む木曾川の岸であり、あるところは山の尾
をめぐる谷の入り口である。一筋の街道はこの深い森林地帯を貫いていた。

 

(略)

 

強いにおいを放つ土中をめがけて佐吉らが鍬を打ち込むたびに、その鍬の
響きが重く勝重のはらわたに徹えた。一つの音のあとには、また他の音が
続いた。

 

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