「羅生門」
作:芥川龍之介
ある日の暮方の事である。一人の下人が、羅生門の下で雨やみを待っていた。
広い門の下には、この男のほかに誰もいない。ただ、所々丹塗の剥げた、大きな
円柱に、蟋蟀が一匹とまっている。
(略)
老婆はつぶやくような、うめくような声を立てながら、まだ燃えている火の光をたよ
りに、梯子の口まで、這って行った。そうして、そこから、短い白髪を倒にして、門
の下を覗きこんだ。外には、ただ、黒洞々たる夜があるばかりである。
下人の行方は、誰も知らない。
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