法学とは何か(10) 末弘厳太郎

三 現在の法学と法学教育
 六 以上で私は、法学教育の主な目的は、法学的な物事の考え方、もしくは法学的に物事を処理する能力を習得せしめるにあると言った。法学教育を受けて裁判官や弁護士のような職業的法律家になった人々はもとより、普通の役人や会社員などになった人々にとっても、かかる特殊の能力を持っていることが、彼らの職業人としての特色をなしているのだと私は考えている。
 それでは、現在我が国の法学教育は、その目的のために何をなしつつあるか、また現在法学は、いかにしてその目的に役立っているであろうか。
 この問に答えるために、現在大学で行っている法学教育と法学者によって書かれた著書論文を概観してみると、第一に、内容的に言うと、それは大体、(1)現行法令を解説したもの、(2)法制史、ローマ法というような法制の歴史に関するもの、(3)外国法もしくは比較法学的のもの、(4)法哲学、法社会学等の名で法に関する一般理論を説いているもの、の四種類に分れている。
この文章は、青空文庫(http://www.aozora.gr.jp/
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