道路整備五箇年計画

平成5(1993)年5月28日 閣議決定

根拠法令:道路整備緊急措置法(昭和33年法律34)
 道路整備緊急措置法(昭和三十三年法律第三十四号)第二条第一項に規定する道路整備五箇年計画を次のとおり定める。

 道路の整備の目標

 国民生活の向上と国民経済の健全な発展を図るため、国の経済及び国土総合開発に関する長期計画に即して、日常生活の基盤としての市町村道から国土構造の骨格を形成する高規格幹線道路に至る道路網を、適正な道路空間の確保を図りつつ、計画的に整備することにより、道路交通の安全の確保とその円滑化及び生活環境の改善を図るとともに、交流と連携による活力ある地域づきり、輸送の合理化に寄与し、もって均衡ある国土の発展と豊かさを実感できる国民生活の実現に資することを今後の道路整備の基本的な方針とする。
 これに必要な事業のうち緊急を要するものについて、平成五年度以降五箇年間に地方公共団体の行う単独事業含めて総額七十六兆円(調査費一兆四千億円を含む。)を道路整備に投資するものとし、このうち国が行う道路の整備及び国の負担金その他の経費の交付又は資金の貸付けに係る道路の整備に関し、道路整備五箇年計画として、調査費を充当するものを除き、総額四十九兆四千億円に相当する事業を行うものとする。なお、この計画は、今後の社会・経済の動向、財政事情等を勘案しつつ、弾力的にその実施を図るものとする。
 この計画においては、生活者の豊かさを支える道路整備、活力ある地域づくりのための道路整備及び良好な環境創造のための道路整備を推進するとともに、維持管理の充実等を図るものとする。
 これらの道路整備の実施に当たっては、環境の保全、土地利用との調和等について十分配慮するものとする。
 以上の方針に基づき、計画期間中における道路整備の目標は次のとおりとする。

(1) 生活者の豊かさを支える道路整備の推進

 くらしの利便性を向上させるため、バイパス・環状道路の整備及び連続立体交差事業等による渋滞太作渋滞対策、新幹線駅、空港、港湾等との連絡強化を図るための道路の整備、バス路線及び都市モノレール・新交通システムに係る道路の整備、駐車場の整備、物流対策、道路情報サービスの高度化等を推進する。また、くらしの安全性を向上させるため、歩道・自転車道の整備及び踏切道の改良等の交通安全対策、幅の広い歩道等の高齢者等にも配慮した道路の整備、防災対策、震災対策、避難路の整備、積雪寒冷特別地域における冬季交通の確保を図るための事業等を推進する。歩道等については、その設置道路延長をおおむね十四万六千キロメートルの水準に引き上げることを目途に整備を推進する。さらに、くらしの快適性を向上させるため、共同溝の整備、電線類の地中化、休憩施設の整備、自転車駐車場の整備等を推進する。

(2) 活力ある地域づくりのための道路整備の推進

 交流ネットワークの充実のため、高規格幹線道路網について計画期間中に既供用区間を含め約六千八百キロメートルの区間を供用することとする。また、地域相互の連携を強化するため、地域高規格道路の整備、交通不能区間の解消、奥地等産業開発道路の整備、離島、山村、過疎・半島地域等における道路の整備等を推進するとともに、都市機能の向上と広域的な都市圏の形成に資する都市高速道路、湾岸道路、環状道路等の整備を推進する。さらに、良好な住宅宅地の供給を図るため、土地区画整理事業等を推進するとともに、住宅宅地、公共公益施設等に関連する道路の整備を推進する。

(3) 良好な環境創造のための道路整備の推進

 道路交通に関するエネルギー効率の向上を図り、地球温暖化の防止に資するため、渋滞対策等を推進するとともに、生態系の共生を図るなど、自然環境と調和のとれた道路の整備を推進する。また、良好な生活環境の保全・形成を図るため、良好な市街地の形成に資する道路の整備、環境施設帯の整備、道路の緑化、遮音壁の設置、沿道整備事業等を推進する。

(4) 維持管理の充実等

 安全で円滑かつ快適な道路交通の確保と多様な道路機能の向上のため、維持管理の充実等を図る。

 道路の整備の事業の量

 この計画における道路の整備の事業の量は、次のとおりとする。

(1) 施策別事業の量


○1 生活者の豊かさを支える道路整備の推進 約三十六兆円
○2 活力ある地域づくりのための道路整備の推進 約三十五兆円
○3 良好な環境創造のための道路整備の推進 約三十二兆円
○4 維持管理の充実等 約八兆円 (施策別事業の量は、重複を含む。)

(2) 道路種類別事業の量


○1 高規格幹線道路
イ 高速自動車国道 九兆七千六百億円
ロ 本州四国連絡道路 一兆二千四百億円
ハ 一般国道 四兆三千億円
計 十五兆三千億円
○2 一般道路(高規格幹線道路及び有料道路を除く。)
イ 新設及び改築 二十兆一千六十億円
併用延長
・一般国道 四千二十キロメートル
・主要地方道 三千九百二十キロメートル
・主要地方道以外の都道府県道 三千七百七十キロメートル
・主要地方道以外の市町村道 八千百三十キロメートル

ロ 交通安全施設等整備事業 二兆二千五百二十億円
ハ 維持修繕等 三兆一千八百六十億円
ニ 機械の整備 一千二百五十億円
ホ 調査 七百十億円
計 二十五兆七千四百億円
○3 有料道路
イ 日本道路公団の行う道路の整備 七千三百億円
ロ 首都高速道路公団の行う道路の整備 三兆一千九百億円
ハ 阪神高速道路公団の行う道路の整備 一兆九千五百億円
ニ 東京湾横断道路株式会社の行う道路の整備 八千六百億円
ホ 国の助成を受けて地方公共団体及び地方道路公社等の行う道路の整備 一兆六千三百億円
計 八兆三千六百億円
合計 四十九兆四千億円
入力者:河原一敏