高度技術工業集積地域開発促進法

(テクノポリス法)
昭和58(1983)年5月16日 法律第35号
昭和58(1983)年7月15日 施行

(目的)
第一条
 この法律は、工業の集積の程度が著しく高い地域及びその周辺の地域以外の特定の地域について高度技術に立脚した工業開発を促進することにより、当該特定の地域及びその周辺の地域の経済の発達を図り、もつて地域住民の生活の向上と国民経済の均衡ある発展に資することを目的とする。

(定義)
第二条
 この法律において「高度技術に立脚した工業開発」とは、次に掲げる措置を講ずることにより進められる工業の開発をいう。
 立地している企業について次のイ又はロに該当する企業への成長を図る措置
 技術革新の進展に即応した高度な工業技術(以下「高度技術」という。)の開発を行う企業
 高度技術を製品の開発又は生産に利用する企業
 高度技術の開発を行う企業の立地の促進を図る措置

(地域)
第三条
 この法律による高度技術に立脚した工業開発を促進する措置は、次に掲げる要件に該当する地域について講じられるものとする。
 工業の集積の程度が著しく高い地域及びその周辺の地域であつて政令で定めるもの以外の地域であること。
 自然的経済的社会的条件からみて一体として高度技術に立脚した工業開発を図ることが相当と認められる地域であること。
 その地域に高度技術の開発を行い、又はこれを製品の開発若しくは生産に利用する企業に成長する可能性のある企業が相当数存在すること。
 工業用地、工業用水及び住宅用地の確保が容易であること。
 その地域又はその近傍に政令で定める要件を備えた都市が存在すること。
 その地域又はその近傍に高度技術に係る教育及び研究を行う大学が存在すること。
 高速自動車国道、空港その他の高速輸送に係る施設の利用が容易であること。

(開発指針)
第四条
 通商産業大臣、建設大臣、農林水産大臣及び国土庁長官(以下「主務大臣」という。)は、前条に規定する地域についての高度技術に立脚した工業開発に関する指針(以下「開発指針」という。)を定めなければならない。
 開発指針においては、次に掲げる事項につき、次条第一項の開発計画の指針となるべきものを定めるものとする。
 高度技術に立脚した工業開発を行おうとする地域の設定に関する事項
 高度技術に立脚した工業開発の目標の設定に関する事項
 前号の目標を達成するために必要な事業に関する事項
 環境の保全についての配慮に関する事項その他高度技術に立脚した工業開発に関する重要事項
 主務大臣は、経済事情の変動その他情勢の推移により必要が生じたときは、開発指針を理更するものとする。
 主務大臣は、開発指針を定め、又はこれを変更しようとするときは、自治大臣その他関係行政機関の長に協議しなければならない。
 主務大臣は、開発指針を定め、又はこれを変更したときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。

(開発計画)
第五条
 都道府県は、開発指針に基づき、当該都道府県内の地域であつて第三条各号に掲げる要件に該当すると認められるものについて、高度技術に立脚した工業開発に関する計画(以下「開発計画」という。)を作成し、主務大臣の承認を申請することができる。
 開発計画においては、第一号に掲げる事項及び第二号から第六号までに掲げる事項の大綱について定めるものとする。
 高度技術に立脚した工業開発を行おうとする地域
 高度技術に立脚した工業開発の目標
 企業に対する資金の融通の円滑化その他の高度技術に立脚した工業開発に必要な業務であつて政令で定めるものを行う者及び当該業務の運営に関する事項
 次に掲げる施設の整備(既存の施設の活用を含む。)に関する事項
 工業用地
 工業用水道
 住宅及び住宅用地
 道路
 前号イからニまでに掲げる施設の整備に必要な土地の確保に関連して実施される農用地の整備に関する事項
 その他高度技術に立脚した工業開発に必要な事項
 都道府県は、開発計画を作成しようとするときは、関係市町村に協議しなければならない。
 主務大臣は、第一項の承認の申請があつたときは、当該申請に係る開発計画につき自治大臣の意見を聴かなければならない。
 主務大臣は、開発計画が次の各号に該当するものであると認めるときは、その承認をするものとする。
 その開発計画に係る地域が第三条各号に掲げる要件に該当し、かつ、開発指針に適合するものであること。
 第二項第二号から第六号までに掲げる事項にあつては、開発指針に適合するものであること。
 その開発計画に係る工業開発が当該地域の周辺の地域に対して適切な経済的効果を及ぼすものであること。
 その他開発指針に照らして適切なものであること。
 主務大臣は、開発計画につき前項の規定による承認をしようとするときは、関係行政機関の長に協議しなければならない。
 都道府県は、開発計画が第五項の規定による承認を受けたときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。

(開発計画の変更)
第六条
 都道府県は、前条第五項の規定による承認を受けた開発計画を変更しようとするときは、主務大臣の承認を受けなければならない。
 前条第三項から第七項までの規定は、前項の場合について準用する。

(負担金についての損金算入の特例)
第七条
 第五条第二項第三号に規定する者(その者が民法(明治二十九年法律第八十九号)第三十四条の規定により設立された法人である場合に限る。)が行う同項第三号に規定する業務であつて第五条第五項の規定による承認を受けた開発計画(前条第一項の規定による変更の承認があつたときは、その変更後のもの。以下同じ。)に係るものに係る基金に充てるための負担金を支出した場合には、租税特別措置法(昭和三十二年法律第二十六号)で定めるところにより、損金算入の特例の適用があるものとする。

(固定資産税の不均一課税に伴う措置)
第八条
 地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)第六条第二項の規定により、政令で定める地方公共団体が、製造の事業を営む者であつて第五条第五項の規定による承認を受けた開発計画に係る地域において高度技術の利用による製品の開発若しくは生産に係る試験研究又は高度技術に係る改良、考案若しくは発明に係る試験研究の用に供する設備を新設し、又は増設したものについて、当該設備のうち自治省令で定める機械その他の償却資産に該当するものに対する固定資産税に係る不均一の課税をした場合において、その措置が政令で定める場合に該当するものと認められるときは、地方交付税法(昭和二十五年法律第二百十一号)第十四条の規定による当該地方公共団体の各年度における基準財政収入額は、同条の規定にかかわらず、当該地方公共団体の当該各年度分の減収額(その措置がなされた最初の年度以降三箇年度におけるものに限る。)のうち自治省令で定めるところにより算定した額を同条の規定による当該地方公共団体の当該各年度(その措置が自治省令で定める日以後において行われたときは、当該減収額について当該各年度の翌年度)における基準財政収入額となるべき額から控除した額とする。

(国の援助等)
第九条
 国及び地方公共団体は、第五条第五項の規定による承認を受けた開発計画の達成に資するため、必要な施設の整備に努め、及び当該開発計画の実施に必要な事業を行う者等に対する技術的な助言、指導その他の援助の実施に努めるものとする。
 地方公共団体が第五条第五項の規定による承認を受けた開発計画を達成するために行う事業に要する費用に充てるために起こす地方債については、法令の範囲内において、資金事情及び当該地方公共団体の財政状況が許す限り、特別の配慮をするものとする。

(農地法等の許可)
第十条
 国の行政機関の長又は都道府県知事は、第五条第五項の規定による承認を受けた開発計画に係る地域内の土地を当該開発計画で定める施設の用に供するため農地法(昭和二十七年法律第二百二十九号)その他の法律の規定による許可その他の処分を求められたときは、当該開発計画で定める高度技術に立脚した工業開発が促進されるよう配慮するものとする。


入力者:河原一敏