第百三条
国際連合加盟国のこの憲章に基く義務と他のいずれかの国際協定に基く義務とが抵触するときはこの憲章に基く義務が優先する。
第百四条
この機構は、その任務の遂行及びその目的の達成のために必要な法律上の能力を各加盟国の領域において亨有する。
第百五条
この機構は、その目的の達成に必要な特権及び免除を各加盟国の領域において亨有する。
2
これと同様に、国際連合加盟国の代表者及びこの機構の職員は、この機構に関連する自己の任務を独立に遂行するために必要な特権及び免除を亨有する。
3
総会は、本条1及び2の適用に関する細目を決定するために勧告をし、又はそのために国際連合加盟国に条約を提案することができる。
第十七章 安全保障の過渡的規定
- 第百六条
- 第四十三条に掲げる特別協定でそれによつて安全保障理事会が第42条に基く責任の遂行を開始することができると認めるものが効力を生ずるまでの間、1943年10月30日にモスコーで署名された4国宣言の当時国及びフランスは、この宣言の第5項の規定に従つて、国際の平和及び安全の維持のために必要な共同行動をこの機構に代つてとるために相互に及び必要に応じて他の国際連合加盟国と協議しなければならない。
- 第百七条
- この憲章のいかなる規定も、第二次世界大戦中にこの憲章の署名国の敵であつた国に関する行動でその行動について責任を有する政府がこの戦争の結果としてとり又は許可したものを無効にし、又は排除するものではない。
- 第百八条
- この憲章の改正は、総会の構成国の三分の二の多数で採択され、且つ、安全保障理事会のすべての常任理事国を含む国際連合加盟国の三分の二によつて各自の憲法上の手続に従つて批准された時に、すべての国政連合加盟国に対して効力を生ずる。
- 第百九条
- 1
- この憲章を再審議するための国際連合加盟国の全体会議は、総会の構成国の三分の二の多数及び安全保障理事会の九理事会の投票によつて決定される日及び場所で開催することができる。各国際連合加盟国は、この会議において1個の投票権を有する。
- 2
- 全体会議の三分の二の多数によつて勧告されるこの憲章の変更は、安全保障理事会のすべての常任理事国を含む国際連合加盟国の三分の二によつて各自の憲法上の手続に従つて批准された時に効力を生ずる。
- 3
- この憲章の効力発生後の総会の第十回年次会期までに全体会議が開催されなつかた場合には、これを招集する提案を総会の第十回年次会期の議事日程に加えなければならず、全体会議は、総会の構成国の過半数及び安全保障理事国の七理事国の投票によつて決定されたときに開催しなければならない。
- 百十条
- 1
- この憲章は、署名国によつて各自の憲法上の手続に従つて批准されなければならない。
- 2
- 批准書は、アメリカ合衆国政府に寄託される。同政府は、すべての署名国及び、この機構の事務総長が任命された場合には、事務総長に対して各寄託を通告する。
- 3
- この憲章は、中華民国、フランス、ソヴィエト社会主義共和国連邦、グレート・ブリテン及び北部アイルランド連合王国、アメリカ合衆国及びその他の署名国の過半数が批准書を寄託した時に効力を生ずる。批准書寄託調書は、その時にアメリカ合衆国政府が作成し、その謄本をすべての署名国に送付する。
- 4
- この憲章の署名国で憲章が効力を生じた後に批准するものは、各自の批准書の寄託の日に国際連合の原加盟国となる。
- 第百十一条
- この憲章は、中国語、フランス語、ロシア語、英語及びスペイン語の本文をひとしく正文とし、アメリカ合衆国政府の記録に寄託しておく。この憲章の認証謄本は、同政府が他の署名国の政府に送付する。
以上の証拠として、連合国政府の代表者は、この憲章に署名した。
千九百四十五年六月二十六日にサン・フランシスコ市で作成した。