義務教育諸学校における教育の政治的中立の確保に関する臨時措置法

昭和29年6月3日 法律第157号
昭和29年6月13日 施行
改正、昭31-法163、昭49-法70

入力者注 : 第二条中の「ろう学校」(聾学校)の「ろう」、及び第三条中の「せん動」(煽動)の「せん」には、傍点が振られている。

(この法律の目的)
第一条
 この法律は,教育基本法(昭和二十二年法律第二十五号)の精神に基づき、義務教育諸学校における教育を党派的勢力の不当な影響又は支配から守り、もつて義務教育の政治的中立を確保するとともに、これに従事する教育職員の自主性を擁護することを目的とする。

(定義)
第二条
 この法律において「義務教育諸学校」とは、学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)に規定する小学校、中学校又は盲学校、ろう学校若しくは養護学校の小学部若しくは中学部をいう。
 この法律において「教育職員」とは、校長若しくは教頭(盲学校、ろう学校又は養護学校の小学部又は中学部にあつては、当該部の属する盲学校、ろう学校又は養護学校の校長又は教頭とする。)又は教諭、助教諭若しくは講師をいう。

(特定の政党を支持させる等の教育の教唆及びせん動の禁止)
第三条
 何人も、教育を利用し、特定の政党その他の政治的団体(以下「特定の政党等」という。)の政治的勢力の伸張又は減退に資する目的をもつて、学校教育法に規定する学校の職員を主たる構成員とする団体(その団体を主たる構成員とする団体を含む。)の組織又は活動を利用し、義務教育諸学校に勤務する教育職員に対し、これらの者が、義務教育諸学校の児童又は生徒に対して、特定の政党を支持させ、又はこれに反対させる教育を行うことを教唆し、又はせん動してはならない。

(罰則)
第四条
 前条の規定に違反した者は、一年以下の懲役は又は三万円以下の罰金に処する。

(処罰の請求)
第五条
 前条の罪は、当該教育職員が勤務する義務教育諸学校の設置者の区別に応じ、左の各号に掲げるものの請求を待って論ずる。
 国立の義務教育諸学校にあつては、当該学校が附属して設置される国立大学(当該学校が国立大学の学部に附属して設置される場合には、当該国立大学)の学長
 公立の義務教育諸学校にあつては、当該学校を設置する地方公共団体の教育委員会(当該地方公共団体が特別区である場合には都の教育委員会)
 私立の義務教育諸学校にあつては、当該学校を所轄する都道府県知事
 前項の請求の手続は、政令で定める。

附則
 この法律は、公布の日から起算して十日を経過した日から施行し、当分の間、その効力を有する。

入力者:河原一敏