国の利害に関係のある訴訟についての法務大臣の権限等に関する法律

昭和22年12月17日 法律第194号
昭和23年2月15日 施行
改正、昭27法6、昭27法268、昭37法140、昭41法111、平8法110

入力者注:
 平成8年法律第110号による、第八条中「民事訴訟法(明治二十三年法律第二十九号)第八十一条第二項」を「民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第五十五条第二項」に改める規定は、平成10年6月25日までに政令で定める日(新民訴法施行の日)から施行される。

第一条
 国を当事者又は参加人とする訴訟については、法務大臣が、国を代表する。

第二条
 法務大臣は、所定の職員でその指定する者に前条の訴訟を行わせることができる。
 法務大臣は、行政庁の所管し、又は監督する業務に係る前条の訴訟について、必要があると認めるときは、当該行政庁の意見を聴いた上で、当該行政庁の職員で法務大臣の指定する者にその訴訟を行わせることができる。この場合には、指定された者は、その訴訟については、法務大臣の指揮を受けるものとする。

第三条
 前条の規定は、法務大臣が弁護士を訴訟代理人に選任し、第一条の訴訟を行わせることを妨げない。

第四条
 法務大臣は、国の利害又は公共の福祉に重大な関係のある訴訟において裁判所の許可を得て、裁判所に対し、自ら意見を述べ、又はその指定する所部の職員に意見を述べさせることができる。

第五条
 行政庁は、所部の職員でその指定するものに行政庁を当事者又は参加者とする訴訟を行わせることができる。
 前項の訴訟の当事者又は参加人である行政庁の上級行政庁の職員は、同項の規定の適用については、当該行政庁の職員とみなす。ただし、当該行政庁が地方公共団体の機関であり、かつ、その上級行政庁が他の地方公共団体の機関である場合において、その上級行政庁の職員に第一項の訴訟を行わせるには、その上級行政庁の同意を得なければならない。
 第一項の規定は、行政庁が弁護士を訴訟代理人に選任し、同項の訴訟を行わせることを妨げない。

第六条
 前条第一項の訴訟については、行政庁は、法務大臣の指揮を受けるものとする。
 法務大臣は、前条第一項の訴訟について、必要があると認めるときは、所部の職員でその指定するもの若しくは訴訟代理人に選任する弁護士にその訴訟を行わせ、又は同項若しくは同条第三項の規定により行政庁の指定し、若しくは選任した者を解任することができる。

第七条
 地方公共団体その他法令で定める公法人は、その事務に関する訴訟について、法務大臣にその所部の職員でその指定するものに当該訴訟を行わせることを求めることができる。
 地方公共団体がその事務に関する訴訟について前項の請求をするときは、あわせてその旨を法務大臣に通知しなければならない。
 第一項の請求があつた場合において、法務大臣は、国の利害を考慮して必要があると認めるときは、所部の職員でその指定するものにその訴訟を行わせることができる。この場合において、地方公共団体の事務に関する訴訟については、法務大臣は、自治大臣の意見を求めるものとする。
 前項の規定は、地方公共団体その他の公法人が弁護士を訴訟代理人に選任し、第一項の訴訟を行わせることを妨げない。

第八条
 第二条第五条第一項第六条第二項又は前条第三項の規定により法務大臣又は行政庁の指定したものは、当該訴訟について、代理人の選任以外の一切の裁判上の行為をする権限を有する。ただし、地方公共団体の事務に関する訴訟につき前条第三項の規定により法務大臣の指定した者については、民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第五十五条第二項(第五号を除く。)の規定を準用する。

第九条
 調停事件その他非訟事件については、第一条乃至前条の規定を準用する。


附則(抄)

 この法律は、法務庁設置法の施行の日(昭和23年2月15日)から施行する。

附則(平成8年6月26日 法律第110号)(抄)

 この法律は、新民訴法(平8法109)の施行の日から施行する。(後略)

入力者:河原一敏