内閣法

昭和22年1月16日 法律第5号
昭和22年5月3日 施行
最終改正:平成10年法律13

第一条
 内閣は、日本国憲法第七十三条その他日本国憲法に定める職権を行う。

第二条
 内閣は、首長たる内閣総理大臣及び二十人以内の国務大臣を以て、これを組織する。
 内閣は、行政権の行使について、国会に対し連帯して責任を負う。

第三条
 各大臣は、別に法律の定めるところにより、主任の大臣として行政事務を分担管理する。
 前項の規定は、行政事務を分担管理しない大臣の存することを妨げるものではない。

第四条
 内閣がその職権を行うのは、閣議によるものとする。
 閣議は、内閣総理大臣がこれを主宰する。
 各大臣は、案件の如何を問わず、内閣総理大臣に提出して、閣議を求めることができる。

第五条
 内閣総理大臣は、内閣を代表して内閣提出の法律案、予算その他の議案を国会に提出し、一般国務及び外交関係について国会に報告する。

第六条
 内閣総理大臣は、閣議にかけて決定した方針に基いて、行政各部を指揮監督する。

第七条
 主任の大臣の間における権限についての疑義は、内閣総理大臣が、閣議にかけて、これを裁定する。

第八条
 内閣総理大臣は、行政各部の処分又は命令を中止せしめ、内閣の処置を待つことができる。

第九条
 内閣総理大臣に事故のあるとき、又は内閣総理大臣が欠けたときは、その予め指定する国務大臣が、臨時に、内閣総理大臣の職務を行う。

第十条
 主任の国務大臣に事故のあるとき、又は主任の国務大臣が欠けたときは、内閣総理大臣又はその指定する国務大臣が、臨時に、その主任の国務大臣の職務を行う。

第十一条
 政令には、法律の委任がなければ、義務を課し、又は権利を制限する規定を設けることができない。

第十二条
 内閣に、内閣官房を置く。
 内閣官房は、閣議事項の整理その他内閣の庶務、閣議に係る重要事項に関する総合調整その他行政各部の施策に関するその統一保持上必要な総合調整及び内閣の重要政策に関する情報の収集調査に関する事務を掌る。
 前項の外、内閣官房は、政令の定めるところにより、内閣の事務を助ける。
 内閣官房の外、内閣に、別に法律の定めるところにより、必要な機関を置き、内閣の事務を助けしめることができる。

第十三条
 内閣官房に内閣官房長官一人を置く。
 内閣官房長官は、国務大臣をもつて充てる。
 内閣官房長官は、内閣官房の事務を統括し、所部の職員の服務につき、これを統督する。

第十四条
 内閣官房に、内閣官房副長官三人を置く。
 内閣官房副長官は、内閣官房長官の職務を助け、命を受けて内閣官房の事務をつかさどり、及びあらかじめ内閣官房長官の定めるところにより内閣官房長官不在の場合その職務を代行する。

第十四条の二
 内閣官房に、内閣危機管理監一人を置く。
 内閣危機管理監は内閣官房長官及び内閣官房副長官を助け、命を受けて内閣官房の事務のうち危機管理(国民の生命、身体又は財産に重大な被害が生じ、又は生じるおそれがある緊急の事態への対処及び当該事態の発生の防止をいう。)に関するもの(国の防衛に関するものを除く。)を統理する。
 内閣危機管理監の任免は、内閣総理大臣の申出により、内閣において行う。
 国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)第九十六条第一項第九十八条第一項第九十九条並びに第百条第一項及び第二項の規定は、内閣危機管理監の服務について準用する。
 内閣危機管理監は、在任中、内閣総理大臣の許可がある場合を除き、報酬を得て他の職務に従事し、又は営利活動を営み、その他金銭上の利益を目的とする業務を行つてはならない。

第十四条の三
 内閣官房に、内閣総理大臣補佐官三人以内を置くことができる。
 内閣総理大臣補佐官は、内閣の重要政策に関し、内閣総理大臣に進言し、及び内閣総理大臣の命を受けて、内閣総理大臣に意見を具申する。
 内閣総理大臣補佐官は、非常勤とすることができる。
 前条第三項及び第四項の規定は内閣総理大臣補佐官について、第五項の規定は常勤の内閣総理大臣補佐官について準用する。

第十四条の四
 内閣官房に、内閣参事官、内閣審議官、内閣調査官、内閣事務官その他所要の職員を置く。
 内閣参事官は、命を受けて閣議事項の整理その他内閣の庶務を掌る。
 内閣審議官は、命を受けて閣議に係る重要事項に関する総合調整その他行政各部の施策に関するその統一保持上必要な総合調整に関する事務を掌る。
 内閣調査官は、命を受けて内閣の重要政策に関する情報の収集調査に関する事務を掌る。
 内閣事務官は、命を受けて内閣官房の事務を整理する。
 内閣参事官、内閣審議官及び内閣調査官の定数は、政令で定める。

第十五条
 内閣官房に内閣総理大臣に附属する秘書官三人並びに内閣総理大臣及び各省大臣以外の各国務大臣に附属する秘書官各一人を置く。
 前項の秘書官で、内閣総理大臣に附属する秘書官は、内閣総理大臣の、国務大臣に附属する秘書官は、国務大臣の命を受け、機密に関する事務を掌り、又は臨時に命を受け内閣官房その他関係各部局の事務を助ける。

第十六条
 削除

第十七条
 内閣官房の所掌事務を遂行するため必要な内部組織については、政令で定める。

第十八条
 内閣官房に係る事項については、この法律にいう主任の大臣は、内閣総理大臣とする。


附則
この法律は、日本国憲法施行の日(昭和22年5月3日)から、これを施行する。

附則 (昭和24年5月31日 法律122)
 この法律は、昭和二十四年六月一日から施行する。
 この法律施行の際現に在職する内閣官房次長は、第十四条の内閣官房副長官となつたものとする。
 内閣官房職員設置制(昭和二十二年政令第二号)は、廃止する。但し、法律(法律に基く命令を含む。)に別段の定のある場合を除くの外、内閣官房に属する従前の機関及び職員は、総理府設置法(昭和二十四年法律第百二十七号)に基く相当の機関及び職員となり同一性をもつて存続するものとする。
 他の法令中「内閣書記官長」とあるのは「内閣官房長官」、「内閣官房次長」とあるのは「内閣官房副長官」と読み替えるものとする。

附属及び関係法令
内閣法制局設置法
昭和27年7月31日 法律252
昭和27年8月1日 施行
安全保障会議設置法
昭和61年5月27日 法律71
昭和61年7月1日 施行
内閣官房組織令
昭和32年7月31日 政令219
昭和32年8月1日 施行
国家行政組織法
昭和23年7月10日 法律120
昭和24年6月1日 施行

入力者:河原一敏