内田康夫FAN |
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広島県江田島 |
江田島の主峰・古鷹山が炎上し、短剣を腹部に突きたてた不審な焼死体が発見された。そして10年―。帝国海軍の象徴・東郷元帥の盗まれた短剣の行方を追って浅見光彦が江田島へ。奇しくもその日、発見された短剣で男が「自殺」した。三つの短剣に秘められた戦後40余年の繁栄に酔いしれる日本の悲劇とは。 (上記より引用) |
「僕など、五省のうちの一つだって、真剣に心掛けたことのない、自堕落な生き方をしているのですから、笑うどころか、それこそ『恥ずる』ことばかりです」 「そうですか、あなたはそんなふうに思ってくれますか」 河口は気強そうに、目を輝かした。 「浅見さんはご謙遜だろうけど、たしかに、いまの世の中、すべて - とはいわないまでも、われわれを含めて、老いも若きも、おしなべて、この『五省』をクリアすることは不可能でしょうなあ。至誠に悖ることを、恥ずかしげもなく、カッコよく、要領よく、適当にやっているのが、現代人の典型といっていいかもしれません。しかし、半世紀前の江田島では、多くの若者たちが、『五省』のきびしさによく耐える生き方をしていたことも事実です。しかも、彼らの立派なのは、そういう生き方をひけらかしたりせず、当然のこととして、慎ましく生きていた点です」 江田島殺人事件 光文社文庫より引用 |
【FAN データ】平均的評価=☆☆☆☆☆(最高=5) [感想より] あきさん 事件の結末は色々あるが、浅見にとって今回が一番辛らかったのではないかと思う。どうやってその悲しみを乗越えたのか、私は、ストーリーが終わったその後の事に、興味をそそられました。 kesraさん ドラマとかにすると、最後に犯人が自殺するとかは、シリーズにとって日常茶飯事で、それが小説の中で起こっても、何ら心にくるものは無いんだけど、この話は悲しすぎる。こんな終わり方、ありかよって感じなくらい。話の内容以上に、結末が心に残りました。この頃の一部の作品と比べて、かなり出来のいい作品です。 (2005 4月 作成) |
【単行本】内田康夫ベストセレクション 江田島殺人事件
【ノベルス】江田島殺人事件 (講談社ノベルス) 【文庫本】江田島殺人事件 (ノン・ポシェット) 【文庫本】江田島殺人事件 (講談社文庫) 【関連】浅見光彦のミステリー紀行〈第3集〉殺人よりもアブナイ話 (光文社文庫) |