Category Archives: 名作文学

日本の名作文学 【国語】

名作文学

日本の名作文学作品まとめ

芥川龍之介 記事 禅智内供の鼻と云えば、池の尾で知らない者はない・・・
芥川龍之介 羅生門 記事 ある日の暮方の事である・・・
芥川龍之介 地獄變 記事 堀川の大殿樣のやうな方は、これまでは固より、後の世には・・・
芥川龍之介 藪の中 記事 検非違使に問われたる木樵りの物語・・・
芥川龍之介 河童 記事 これはある精神病院の患者・・・
有島武郎 カインの末裔 記事 長い影を地にひいて・・・
尾崎紅葉 金色夜叉 記事 未だ宵ながら松立てる門は一様に鎖籠めて・・・
梶井基次郎 闇の絵巻 記事 最近東京を騒がした有名な強盗が捕まって・・・
鴨長明 方丈記 記事 行く川のながれは絶えずして・・・
菊池寛 恩讐の彼方に 記事 市九郎は、主人の切り込んで来る太刀を・・・
島崎藤村 新生 記事 「岸本君――僕は僕の近来の生活と思想の断片を君に書いて送ろうと思う・・・
島崎藤村 夜明け前 記事 木曾路はすべて山の中である・・・
幸田露伴 五重塔 記事 木理美しき槻胴、縁にはわざと赤樫を用ひたる岩畳・・・
太宰治 走れメロス 記事 メロスは激怒した。必ず、かの邪智暴虐の王を除かなければならぬと決意した・・・
太宰治 人間失格 記事 私は、その男の写真を三葉、見たことがある・・・
太宰治 津軽 記事 或るとしの春、私は、生れてはじめて本州北端、津軽半島を・・・
樋口一葉 にごりえ 記事 おい木村さん信さん寄つてお出よ・・・
二葉亭四迷 あいびき 記事 秋九月中旬というころ・・・
堀辰夫 聖家族 記事 死があたかも一つの季節を開いたかのようだった・・・
堀辰夫 美しい村 記事 御無沙汰をいたしました。今月の初めから僕は当地に滞在しております・・・
宮沢賢治 雨ニモマケズ 記事 雨ニモマケズ 風ニモマケズ・・・
宮沢賢治 銀河鉄道の夜 記事 「ではみなさんは、そういうふうに川だと云われ・・・
森鴎外 山椒大夫 記事 越後の春日を経て今津へ出る道を・・・
森鴎外 記事 古い話である。僕は偶然それが明治十三年の出来事だと云う・・・
森鴎外 高瀬舟 記事 高瀬舟は京都の高瀬川を上下する小舟である・・・
森鴎外 山椒大夫 記事 越後の春日を経て今津へ出る道を・・・

そのほか

桜の樹の下には 梶井基次郎

桜の樹の下には

作:梶井基次郎

桜の樹の下には屍体が埋まっている!
 これは信じていいことなんだよ。何故って、桜の花があんなにも見事に咲くなんて信じられないことじゃないか。俺はあの美しさが信じられないので、この二三日不安だった。しかしいま、やっとわかるときが来た。桜の樹の下には屍体が埋まっている。これは信じていいことだ。

(略)

 ああ、桜の樹の下には屍体が埋まっている!
 いったいどこから浮かんで来た空想かさっぱり見当のつかない屍体が、いまはまるで桜の樹と一つになって、どんなに頭を振っても離れてゆこうとはしない。
 今こそ俺は、あの桜の樹の下で酒宴をひらいている村人たちと同じ権利で、花見の酒が呑めそうな気がする。

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春琴抄 谷崎潤一郎

「春琴抄」
作:谷崎潤一郎

春琴、ほんとうの名は鵙屋琴、大阪道修町の薬種商の生れで歿年は明治十九年十月十四日、墓は市内下寺町の浄土宗の某寺にある。せんだって通りかかりにお墓参りをする気になり立ち寄って案内を乞うと「鵙屋さんの墓所はこちらでございます」といって寺男が本堂のうしろの方へ連れて行った。見るとひと叢の椿の木かげに鵙屋家代々の墓が数基ならんでいるのであったが琴女の墓らしいものはそのあたりには見あたらなかった。

(略)

人は記憶を失わぬ限り故人を夢に見ることが出来るが生きている相手を夢でのみ見ていた佐助のような場合にはいつ死別れたともはっきりした時は指せないかも知れない。ちなみに云う春琴と佐助との間には前記の外に二男一女があり女児は分娩後に死し男児は二人共赤子の時に河内の農家へ貰われたが春琴の死後も遺形見には未練がないらしく取り戻そうともしなかったし子供も盲人の実父の許へ帰るのを嫌った。かくて佐助は晩年に及び嗣子も妻妾もなく門弟達に看護されつつ明治四十年十月十四日光誉春琴恵照禅定尼の祥月命日に八十三歳と云う高齢で死んだ察する所二十一年も孤独で生きていた間に在りし日の春琴とは全く違った春琴を作り上げいよいよ鮮かにその姿を見ていたであろう佐助が自ら眼を突いた話を天竜寺の峩山和尚が聞いて、転瞬の間に内外を断じ醜を美に回した禅機を賞し達人の所為に庶幾しと云ったと云うが読者諸賢は首肯せらるるや否や

 

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痴人の愛 谷崎潤一郎

「痴人の愛」
作:谷崎潤一郎

私はこれから、あまり世間に類例がないだろうと思われる私達夫婦の間柄に就いて、出来るだけ正直に、ざっくばらんに、有りのままの事実を書いて見ようと思います。それは私自身に取って忘れがたない貴い記録であると同時に、恐らくは読者諸君に取っても、きっと何かの参考資料となるに違いない。殊にこの頃のように日本もだんだん国際的に顔が広くなって来て、内地人と外国人とが盛んに交際する、いろんな主義やら思想やらが這入って来る、男は勿論女もどしどしハイカラになる、と云うような時勢になって来ると、今まではあまり類例のなかった私たちの如き夫婦関係も、追い追い諸方に生じるだろうと思われますから。

(略)

これで私たち夫婦の記録は終りとします。これを読んで、馬鹿々々しいと思う人は笑って下さい。教訓になると思う人は、いい見せしめにして下さい。私自身は、ナオミに惚れているのですから、どう思われても仕方がありません。
ナオミは今年二十三で私は三十六になります。

 

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刺青 谷崎潤一郎

「刺青」
作:谷崎潤一郎

其れはまだ人々が「愚」と云う貴い徳を持って居て、世の中が今のように激しく軋み合わない時分であった。殿様や若旦那の長閑な顔が曇らぬように、御殿女中や華魁の笑いの種が盡きぬようにと、饒舌を売るお茶坊主だの幇間だのと云う職業が、立派に存在して行けた程、世間がのんびりして居た時分であった。女定九郎、女自雷也、女鳴神、―――当時の芝居でも草双紙でも、すべて美しい者は強者であり、醜い者は弱者であった。誰も彼も挙って美しからんと努めた揚句は、天稟の体へ絵の具を注ぎ込む迄になった。芳烈な、或は絢爛な、線と色とが其の頃の人々の肌に躍った。

(略)

「親方、私はもう今迄のような臆病な心を、さらりと捨てゝしまいました。―――お前さんは真先に私の肥料になったんだねえ」
と、女は剣のような瞳を輝かした。その耳には凱歌の声がひゞいて居た。
「帰る前にもう一遍、その刺青を見せてくれ」
清吉はこう云った。
女は黙って頷いて肌を脱いた。折から朝日が刺青の面にさして、女の背は燦爛とした。

 

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